釆沢嘉高、村野英一
大雨に見舞われた静岡県熱海市伊豆山(いずさん)でおきた土石流は10日、発生から1週間を迎える。これまでに9人の死亡が確認され、まだ20人の安否が分かっていない。捜索は難航しており長期化する恐れがある。道路や水道の全面復旧も見通しが立っていない。
県は9日、これまでに見つかっていた2人の遺体について、田中路子さん(70)、トオヤマユウジさんと確認したと発表した。
県などによると、土石流は3日午前、断続的に発生。標高400メートルの起点から住宅などをのみ込みながら、約2キロにわたり流れ下ったとされる。131棟が被害をうけた。土砂は約5万5500立方メートルにのぼると県は推定。流れ落ちた土石流のほとんどが、起点付近の盛り土だった可能性があるとして検証を進めている。
市によると、安否不明者の捜索は連日、警察や消防、陸上自衛隊員ら約1100人が午前6時~午後6時に実施。ただ、斉藤栄市長は9日の記者会見で「地理的条件、天候の条件など課題があり長期戦になる」との見通しを示した。
被害をうけた地域は、住宅の密集地で、道路が狭いため重機を運び込むのが難しい。さらに、土砂が少量ながらも流れる状態が続いていることなどから、二次災害を防ぐため捜索を中断することが多い。9日も小規模崩落があったことをうけて約3時間、中断した。
一方、交通網やライフラインの復旧も時間がかかっている。
県の9日現在のまとめでは、572人がホテル2カ所に避難している。神奈川県へつながる国道135号は土砂に覆われて寸断。土砂の撤去は進んだが、なお流れてくる土砂の影響を受けて、一般車両の通行再開のメドは立っていない。
水道は配水池のタンクが被害をうけ、市によると、9日午後7時現在で約600件が断水。全面解消にはなお時間がかかるとみられている。(釆沢嘉高、村野英一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル